ILINK32.EXE - 32 ビット インクリメンタル リンカ
ILINK32.EXE は、ILINK32(32 ビット Windows 用 C++ リンカ)のコマンドライン インターフェイスです。
コマンドライン構文
ILINK32 [@<respfile>][<options>] <startup> <myobjs>, [<exefile>],^ [<mapfile>], [<libraries>], [<deffile>], [<resfiles>]
コマンドライン要素
また、ILINK32.CFG という構成ファイルを作成し、通常はコマンド ラインから入力するオプションを設定しておくこともできます。
要素 | 説明 |
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応答ファイルとは、通常はコマンドラインから入力するリンカ オプションやファイル名を記述するための ASCII ファイルです。オプションやファイル名を応答ファイルに記述すると、アプリケーションをリンクする際のキー入力の数を減らすことができます。 |
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リンクをどのように行うかを制御するためのリンカ オプションです。たとえば、.EXE、.BPL、.DLL のいずれのファイルを生成するかは、オプションで指定します。リンカ オプションの前には、スラッシュ( |
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プログラムのさまざまなセグメントの順序を設定する、実行可能ファイルおよび DLL のための初期化モジュールです。正しい初期化モジュールのリンクに失敗すると、通常、ある識別子が未解決である、あるいはスタックが作成されていないといったエラー メッセージが、大量に出力されます。 |
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リンクする .OBJ ファイルです。 ファイルが現在のディレクトリにない場合は、パスを指定します (拡張子がない場合は、リンカにより拡張子 .OBJ が付加されます)。 このセクションには、Delphi パッケージのインポート ライブラリ( |
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実行可能ファイル(.EXE、.BPL、または .DLL)に付ける名前です。 実行可能ファイル名を指定しない場合、ILINK32 は、列挙されている最初のオブジェクト ファイル名に .EXE、.BPL、または .DLL を付けて、実行可能ファイルの名前を作成します (実行可能ファイルの拡張子が指定されていない場合、リンカは、拡張子を .EXE とみなして、.EXE を付加します。 また、ダイナミック リンク ライブラリの拡張子が指定されていない場合は、拡張子 .DLL を付加します。 同様に、パッケージ ファイルの拡張子が指定されていない場合は、拡張子 .BPL を付加します)。 |
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マップ ファイルに付ける名前です。 名前を指定しない場合、マップ ファイルには .EXE ファイルと同じ名前が付けられます(ただし、拡張子は .MAP)。 拡張子を指定しないと、リンカが拡張子 .MAP を付加します。 |
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リンク時に組み込むライブラリ ファイルです。ライブラリを列挙する際は、コンマで区切らないでください。ファイルが現在のディレクトリまたは検索パス(
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Windows 実行可能ファイルのモジュール定義ファイルです。 モジュール定義(.DEF)ファイルを指定せずに、 |
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実行可能ファイルにバインドする .RES ファイル(コンパイル済みリソース ファイル)のリストです (拡張子がない場合は、リンカが拡張子 .RES を付加します)。 |
コマンドライン ヘルプを表示するには、次のように入力します。
ilink32
コマンドライン オプション
ILINK32.EXE コマンドライン オプションでは、大文字と小文字が区別されます。
ILINK32.EXE では、以下の表に示すコマンドライン オプションをサポートしています。
リンカ オプション
オプション | 説明 |
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ファイルのアラインメントを指定します(下位互換性を保つためのスイッチです。通常は |
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ファイルのアラインメントを指定します。 |
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オブジェクトのアラインメントを指定します。 |
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32 ビット Windows アプリケーションをビルドします。 |
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32 ビット Windows デバイス ドライバをビルドします。 |
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32 ビット Windows コンソール アプリケーションをビルドします。 |
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イメージのベース アドレスを指定します(再配置テーブルは削除します)。 |
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イメージのベース アドレスを指定します(DLL 再配置テーブルは保持します)。後続のオブジェクトは、64KB の連続したアドレス境界に配置されます。読み込み時や実行時のパフォーマンスが向上します。
DLL 生成時には指定することをお勧めします。 |
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リンカ ステート ファイルを更新します。リンクの前に、毎回、リンカ ステート ファイルをすべて消去します。その後、そのファイルを再作成し、リンク処理を続行します。 |
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パブリック シンボルおよび外部シンボルで大文字と小文字の区別を重視します。 |
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DLL を遅延読み込みします。指定した DLL は、DLL 内のエントリ ポイントが実際に呼び出されないと、読み込みおよび初期化されません。 |
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指定された説明が PE イメージに保存されます。 |
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エラーの最大数を指定します。 |
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イメージの PE ファイル ヘッダーにあるオブジェクト テーブルの直後に、コメント文字列を挿入します。複数の文字列を指定できます。 |
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Delphi 互換の RC ファイル(DRC ファイル)を生成します。 |
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イメージ フラグを設定します。xxxx に指定するフラグは以下のとおりです。
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エラー時に出力ファイルを保持します。 |
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.LIB ファイルを生成します。 |
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設計時専用パッケージを生成します。デフォルトでは、パッケージは設計時と実行時の両方で動作します。 |
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実行時専用パッケージを生成します。デフォルトでは、パッケージは設計時と実行時の両方で動作します。 |
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リンカ ステート ファイルを生成してはいけません(インクリメンタル リンクを無効にします)。次回以降のリンクは、最初のリンクと同程度の時間がかかります。 デフォルトはオフです。 |
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セクション フラグを設定します。指定したセクションの既存のフラグに対して、指定したフラグを追加します。セクションからデフォルトのフラグを削除することはできません。セクション フラグには以下のものがあります。 例 -Gs:.rsrc=W このスイッチを指定すると、RSRC セクションが書き込み可能になります。 |
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ターゲットのチェックサムを計算し、その結果を PE ヘッダーに挿入します。これは、NT のカーネル モード ドライバとシステム DLL で使用されます。 |
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アプリケーションのヒープ予約サイズを 16 進数または 10 進数で指定します。最小値は 0 です。このスイッチは、モジュール定義ファイルで設定された HEAPSIZE よりも優先されます。 |
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アプリケーションのヒープ コミット サイズを指定します。 |
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中間出力ファイルのディレクトリを指定します。リンカ ステート ファイルはこの指定に従いますが、マップ デバッグ ファイルと TDS デバッグ ファイルは出力イメージと同じディレクトリに保存されます(ただし MAP ファイルに関しては他で指定されていない場合のみ)。 |
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オブジェクト検索パスを指定します。 例 ILINK32 /jc:\myobjs;.\objs splash ^ .\common\logo,,,utils logolib このコマンドは、最初に現在のディレクトリで SPLASH.OBJ を検索するようにリンカに指示します。ファイルが現在のディレクトリに見つからない場合、リンカは、そのファイルを C:\MYOBJS ディレクトリで検索し、次に .\OBJs ディレクトリで検索します。ただし、LOGO.OBJ ファイルのパスは明示的に指定されているため、リンカは、このファイルを検索する際にはオブジェクト検索パスを使用しません。 |
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LIB ファイルのパスが明示的に指定されず、かつリンカが現在のディレクトリで LIB ファイルを見つけられない場合に使用する、ライブラリ検索パスを指定します。 ILINK32 /Lc:\mylibs;.\libs splash ^ .\common\logo,,,utils logolib 最初に現在のディレクトリで SPLASH.LIB を検索するようにリンカに指示します。ファイルが現在のディレクトリに見つからない場合、リンカは、C:\MYLIBS ディレクトリで検索し、次に .\LIBs ディレクトリで検索します。ただし、LOGO.LIB ファイルのパスは明示的に指定されているため、リンカは、このファイルを検索する際にはライブラリ検索パスを使用しません。 |
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マップ ファイル内に完全名ではなく変形した C++ 識別子を出力します。 |
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セグメントのリストでは、各セグメントについて 1 行を使い、セグメントの開始アドレス、セグメント長、セグメント名、およびセグメント クラスを示します。パブリック シンボルは 2 つのリストに分けられ、そのうちの 1 つはアルファベット順で、もう 1 つはアドレスの昇順でシンボルを表示します。絶対アドレスを持つシンボルには、タグ |
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コマンドライン バナーを表示しません。 |
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リンク時に詳細を表示します。デフォルトはオフです。 |
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リソースを置換します。 |
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アプリケーションのスタック予約サイズを指定します。 |
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アプリケーションのスタック コミット サイズを指定します。 |
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リンカで生成されるデフォルト マップ ファイルにグループやモジュールの情報などの詳細を追加することで、セグメントの詳細マップ ファイルを生成します。 |
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32 ビット Windows DLL ファイルをターゲットにします。 |
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32 ビット Windows EXE ファイルをターゲットにします。 |
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パッケージを生成します。 |
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リンクに要した時間を表示します。 |
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TDS デバッグ ファイルを生成します。 |
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すべての警告をオンにします。 |
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以下の警告を無効にします。 |
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以下の警告を無効にします。 |
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以下の警告を無効にします。 |
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以下の警告を有効にします。 |
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以下の警告を無効にします。 |
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以下の警告を有効にします。 |
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以下の警告を無効にします。 |
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以下の警告を無効にします。 |
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以下の警告を無効にします。 |
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マップ ファイルを作成しません。 |
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セグメントのデフォルト マップ ファイル(リンカ スイッチなし)。 デフォルトでは、リンカは、以下を始めとする一般的なセグメント情報が記載されたマップ ファイルを生成します。
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リンカ応答ファイル
コマンドライン リンカで応答ファイルを使用して、リンカ オプションを指定することができます。
応答ファイルとは、通常はコマンドラインから入力するリンカ オプションやファイル名を列挙するための ASCII ファイルです。 応答ファイルを使うと、ほとんどのオペレーティング システムでサポートしている以上の長いコマンドラインを使うことができ、さらに、同じ情報を頻繁に入力する必要がなくなります。 応答ファイルには、構成ファイルと同じ情報を記述できるだけでなく、ファイル名の記述までサポートされています。
コマンドラインと異なり、応答ファイルは複数行で記述することができます。続きの行があることを指定するには、行末にプラス文字(+
)を記入し、コマンドの続きを次の行に記述します。プラスを指定してオンにするオプション(/v+
など)が行末に来た場合には、その +
は行の継続を示す文字として扱われません(次の行に継続する場合には /v+ +
を指定してください)。
応答ファイル中で、コマンドラインの構成要素をそれぞれ別の行に分けて指定したい場合には(.OBJ ファイルと .LIB ファイルを分けるなど)、コマンドライン中でそれらを区切るためのコンマを省いてください。
たとえば、次の例では、
/c c0ws+ myprog,myexe + mymap + mylib cws
コンマが省かれています。このコンマは、コマンドラインで情報を入力するときには必要です。
ILINK32 /c c0ws myprog,myexe,mymap,mylib cws
応答ファイルを使用するには:
- コマンドライン オプションとファイル名を ASCII テキスト ファイルに入力し、ファイルを保存します。応答ファイルの拡張子は、通常は .RSP です。
- 次のように入力します。
ILINK32 @[<path>]<RESFILE.RSP>
- ここで、
<RESFILE.RSP>
には作成した応答ファイルの名前を指定します。
次のようにすると、複数の応答ファイルを指定することができます。
ilink32 /c @listobjs.rsp,myexe,mymap,@listlibs.rsp
メモ: セミコロンを使うと、応答ファイルにコメントを追加することができます。リンカは、1 つの行の中でセミコロン以降にあるテキストをすべて無視します。
BCC32.EXE での ILINK32 の使用
コマンド ラインで .OBJ や .LIB の拡張子を明示してファイル名を入力することで、コマンドライン コンパイラ(BCC32.EXE)を介して ILINK32 にオプションやファイルを渡すことができます。たとえば、
BCC32 mainfile.obj sub1.obj mylib.lib
このコマンドでは、MAINFILE.OBJ、SUB1.OBJ、MYLIB.LIB をリンクして、実行可能ファイル MAINFILE.EXE を生成します。
メモ: デフォルトでは、BCC32 は、C0W32.OBJ、CW32.LIB、IMPORT32.LIB の各ファイル(それぞれ初期化モジュール、ランタイム ライブラリ、Windows インポート ライブラリ)と一緒に ILINK32 を起動します。さらに、Delphi コンパイラも C++ コンパイラも常に
/c
(大文字と小文字を区別するリンク)オプションをリンカに渡します。