ASP 組み込みオブジェクトの使い方

ASP（Active Server Page）の作成：インデックス への移動

ASP 組み込みオブジェクトは，ASP 内で実行されるオブジェクトに対して ASP が供給する COM オブジェクトのセットです。ASP 組み込みオブジェクトを使用すると，Active Server オブジェクトは，アプリケーションと Web ブラウザの間で渡されるメッセージを反映する情報，および同じ ASP アプリケーションに属す Active Server オブジェクトの間で共有される情報を格納する場所にアクセスできます。

これらのオブジェクトに簡単にアクセスできるようにするために，Active Server オブジェクトの基本クラスはこれらをプロパティとして公開します。これらのオブジェクトについて完全に理解したい場合は，Microsoft の資料を参照してください。ここでは概要を説明します。

アプリケーション

アプリケーションオブジェクトは，IApplicationObject インターフェースを介してアクセスされます。これは ASP アプリケーション全体（仮想ディレクトリおよびそのサブディレクトリ内のすべての .asp ファイルのセットとして定義される）を表します。アプリケーションオブジェクトは複数のクライアントによって共有できるので，スレッドの衝突を防止するために使用する必要があるロックサポートを含んでいます。

IApplicationObject には以下のものが含まれます。

IApplicationObject インターフェースメンバー :

プロパティ，メソッド，またはイベント	意味
Contents プロパティ	スクリプトコマンドを使ってアプリケーションに追加されたすべてのオブジェクトをリストする。このインターフェースには Remove と RemoveAll の 2 つのメソッドがあり，これを使用するとリストから 1 つまたは全部のオブジェクトを削除できる
StaticObjects プロパティ	<OBJECT> タグを使ってアプリケーションに追加されたすべてのオブジェクトをリストする
Lock メソッド	Unlock を呼び出すまでほかのクライアントがアプリケーションオブジェクトをロックしないようにする。すべてのクライアントは，（プロパティなどの）共有メモリにアクセスする前に Lock を呼び出す必要がある
Unlock メソッド	Lock メソッドを使って設定されたロックを解除する
Application_OnEnd イベント	アプリケーションが終了するときに，Session_OnEnd イベントの後に発生する。使用可能な組み込みオブジェクトは Application と Server だけである。このイベントハンドラは VBScript または JScript で作成しなければならない
Application_OnStart イベント	新規のセッションが作成される前（Session_OnStart の前）に発生する。使用可能な組み込みオブジェクトは Application と Server だけである。このイベントハンドラは VBScript または JScript で作成しなければならない

リクエスト

リクエストオブジェクトは，IRequest インターフェースを介してアクセスされます。ASP を開かせた HTTP リクエストメッセージについての情報を提供します。

IRequest には以下のものが含まれます。

IRequest インターフェースメンバー :

プロパティ，メソッド，またはイベント	意味
ClientCertificate プロパティ	HTTP メッセージとともに送信されるクライアント証明書の中の全項目の値を示す
Cookies プロパティ	HTTP メッセージ上のすべての Cookie ヘッダーの値を示す
Form プロパティ	HTTP 本体内のフォーム要素の値を示す。これは名前でアクセスできる
QueryString プロパティ	HTTP ヘッダーから問い合わせ文字列内のすべての変数の値を示す
ServerVariables プロパティ	さまざまな環境変数の値を示す。これらの変数は，共通 HTTP ヘッダー変数の大部分を表す
TotalBytes プロパティ	リクエスト本体内のバイト数を示す。これは BinaryRead メソッドが返すバイト数の上限である
BinaryRead メソッド	Post メッセージのコンテンツを取り出す。このメソッドを呼び出して，読み出す最大バイト数を指定する。その結果のコンテンツは Variant 配列のバイトとして返される。BinaryRead を呼び出した後は，Form プロパティを使用することはできない

レスポンス

レスポンスオブジェクトは，IResponse インターフェースを介してアクセスされます。このオブジェクトでは，クライアントブラウザに返される HTTP レスポンスメッセージについての情報を指定できます。

IResponse には以下のものが含まれます。

IResponse インターフェースメンバー :

プロパティ，メソッド，またはイベント	意味
Cookies プロパティ	HTTP メッセージ上のすべての Cookie ヘッダーの値を決定する
Buffer プロパティ	ページ出力をバッファリングするかどうかを示す。ページ出力をバッファリングするときに，現在のページ上のすべてのサーバースクリプトが処理されるまで，サーバーはクライアントにレスポンスを送信しない
CacheControl プロパティ	プロキシサーバーがレスポンス内の出力をキャッシュできるかどうかを決定する
Charset プロパティ	Content-Type ヘッダーに文字セットの名前を追加する
ContentType プロパティ	レスポンスメッセージ本体の HTTP コンテンツタイプを指定する
Expires プロパティ	ブラウザがレスポンスをキャッシュできる期限が切れるまでの期間を指定する
ExpiresAbsolute プロパティ	レスポンスが期限切れになる日付と時刻を指定する
IsClientConnected プロパティ	クライアントがサーバーから切断されたかどうかを示す
Pics プロパティ	レスポンスヘッダーの pics-label 項目の値を設定する
Status プロパティ	レスポンスのステータスを示す。これは HTTP ステータスヘッダーの値である
AddHeader メソッド	名前と値を指定して HTTP ヘッダーを追加する
AppendToLog メソッド	このリクエストの Web サーバーログの末尾に文字列を追加する
BinaryWrite メソッド	レスポンスメッセージの本体に生の（解釈されていない）情報を書き込む
Clear メソッド	バッファリングされた HTML 出力を消去する
End メソッド	.asp ファイルの処理を停止し，現在の結果を返す
Flush メソッド	バッファリングされた出力をただちに送信する
Redirect メソッド	リダイレクトレスポンスメッセージを送信し，異なる URL にクライアントブラウザをリダイレクトする
Write メソッド	現在の HTTP 出力に変数を文字列として書き込む

セッション

セッションオブジェクトは，ISessionObject インターフェースを介してアクセスされます。このオブジェクトを使用すると，ASP アプリケーションとのクライアントの対話の持続期間のあいだ持続する変数を格納できます。つまり，ASP アプリケーション内のページからページにクライアントが移動してもこの変数は解放されず，クライアントがアプリケーション全体を終了させて初めて解放されます。

ISessionObject には以下のものが含まれます。

ISessionObject インターフェースメンバー :

プロパティ，メソッド，またはイベント	意味
Contents プロパティ	<OBJECT> タグを使ってセッションに追加されたすべてのオブジェクトをリストする。リスト内の変数を名前でアクセスするか，コンテンツオブジェクトの Remove または RemoveAll メソッドを呼び出して値を削除することができる
StaticObjects プロパティ	<OBJECT> タグを使ってセッションに追加されたすべてのオブジェクトをリストする
CodePage プロパティ	シンボルマッピングに使用するコードページを指定する。ロケールが異なると，使用するコードページが異なる可能性がある
LCID プロパティ	文字列コンテンツを解釈するために使用するロケール ID を指定する
SessionID プロパティ	現在のクライアントのセッション ID を示す
TimeOut プロパティ	アプリケーションが終了するまでクライアントからのリクエスト（または更新）がない状態でセッションが持続する時間を（分単位で）指定する
Abandon メソッド	セッションを破棄し，リソースを解放する
Session_OnEnd イベント	セッションが中止されるかタイムアウトになったときに発生する。使用可能な組み込みオブジェクトは Application，Server，および Session だけである。このイベントハンドラは VBScript または JScript で作成しなければならない
Session_OnStart イベント	サーバーが新規のセッションを作成するときに発生する（Application_OnStart の後，かつ ASP 上のスクリプトを実行する前）。すべての組み込みオブジェクトが使用できる。このイベントハンドラは VBScript または JScript で作成しなければならない

サーバー

サーバーオブジェクトは，IServer インターフェースを介してアクセスされます。ASP アプリケーションを作成するためのさまざまなユーティリティを提供します。

IServer には以下のものが含まれます。

IServer インターフェースメンバー :

プロパティ，メソッド，またはイベント	意味
ScriptTimeOut プロパティ	セッションオブジェクトの TimeOut プロパティと同じ
CreateObject メソッド	指定された Active Server オブジェクトをインスタンス化する
Execute メソッド	指定された .asp ファイル内のスクリプトを実行する
GetLastError メソッド	エラー状態を説明する ASPError オブジェクトを返す
HTMLEncode メソッド	HTML ヘッダーに使用する文字列をコード化し，予約文字を適切な定数シンボルで置き換える
MapPath メソッド	指定された仮想パス（現在のサーバー上の絶対パスまたは現在のページに対する相対パス）を物理パスにマップする
Transfer メソッド	現在のステート情報のすべてを，別の ASP に送信して処理できるようにする
URLEncode メソッド	指定された文字列に（エスケープ文字などの）URL コード化規則を適用する

関連項目

• インプロセスまたはアウトオブプロセスサーバー用の ASP の作成
• COM オブジェクトのインターフェイスの定義