初めてのデスクトップ プラットフォーム用 FireMonkey アプリケーションを作成する(C++)
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目次
このチュートリアルでは、2 つの異なるプラットフォーム(Windows と macOS)で動作する FireMonkey アプリケーションを作成します。このアプリケーションには、次のユーザー インターフェイス要素があります。
- 名前を入力するためのテキスト フィールド
- クリックすると "Hello" と表示されるボタン
- "Hello + <名前>!" というメッセージを表示するラベル
この初めての FireMonkey アプリケーションは、Windows と macOS でそれぞれ次のスクリーンショットのように表示されます。
ステップ 1:空のアプリケーションを新規作成する
RAD Studio IDE の[ファイル]メニューでは、FireMonkey アプリケーションを新規作成することができます。新しい空のアプリケーションを作成するには、 [ファイル|新規作成|その他...|C++Builder プロジェクト|空のアプリケーション] を選択します。
次に示すのは、5 つの異なるペインが表示された IDE のスクリーンショットです。これらのペインは、好みに応じてドッキング/ドッキング解除したり閉じることができます。
5 つのペインとは次のとおりです。
ステップ 2:FireMonkey HD フォームにコンポーネントを配置する
FireMonkey アプリケーションを作成するには、まず、ユーザー インターフェイスを設計します。IDE では、ユーザー インターフェイスを作成するための再利用可能なコンポーネントが何百も提供されています。カーソルを[ツール パレット]に移動し、[Standard]カテゴリのプラス(+)アイコンをクリックして展開します。その後、[TEdit]コンポーネントを選択して、フォーム デザイナにドロップします。TEdit コンポーネントのインスタンスがフォーム上に表示されます。
同じ手順で[TLabel]コンポーネントと[TButton]コンポーネントをフォームに追加します。
これで 3 つのコンポーネントがフォーム デザイナ上にあるはずです。マウスを使って好きな位置にコンポーネントを配置し直します。
フォーム上でコンポーネントを選択した後、[オブジェクト インスペクタ]を使ってコンポーネントのプロパティを確認したり変更することができます。
次に、TButton コンポーネントのボタン キャプションをビジュアルに変更します。この後のステップ 3 では、コードを記述することで、TEdit および TLabel のプロパティをプログラムで変更します。
上に示したスクリーンショットのように TButton のプロパティを変更するには、フォームで TButton コンポーネントを選択し、[オブジェクト インスペクタ]に表示された[Text]プロパティを "Say Hello" に変更します。その後、Enter キーを押すと変更が反映されます。
ステップ 3:ユーザーがボタンをクリックしたときの応答を C++ コードで記述する
GUI アプリケーションでは、ボタンをクリックしたりテキスト フィールドに入力するといったユーザーのアクションに対する応答のほとんどは、イベントに対する応答として実装できます。RAD Studio では、そのような応答のことをイベント ハンドラと呼びます。
TButton コンポーネントの場合、最も典型的なイベントはボタンのクリックです。フォーム デザイナでボタンをダブルクリックすると、ボタン クリック イベントのイベント ハンドラを実装するためのスケルトン コードが RAD Studio によって生成されます。
これで、Button1Click メソッドの中かっこの間に応答を実装できます。小さいダイアログに "Hello + <編集ボックスに入力した名前>" と表示するよう応答を実装します。
Label1->Text = "Hello " + Edit1->Text + " !";
C++ では、文字列リテラルを囲む引用符は " " です。また、プラス(+)記号を使用して文字列を連結することもできます。
コードを入力している途中に、指定しなければならないパラメータの種類を示すヒントが表示されます。また、クラスでサポートされているメンバの種類もヒントで示されます。
ステップ 4:アプリケーションを実行する
アプリケーションの実装が終わったので、実行することができます。IDE の[実行]ボタンをクリックするか、F9 キーを押すか、RAD Studio のメイン メニューで[実行|実行]を選択します。
アプリケーションを実行すると、編集ボックスとボタンを持つフォームが表示されます。編集ボックスにテキストを入力し、[Say Hello]ボタンをクリックします。
ステップ 5: macOS をサポートする
デフォルトでは、RAD Studio は 32 ビット版の Windows オペレーティング システムを対象としたアプリケーションを作成します。 macOS をターゲット プラットフォームに追加するには、[プロジェクト マネージャ]の[ターゲット プラットフォーム]ノードを右クリックし、[プラットフォームの追加...|macOS]を選択します。 これで Win32 と macOS の両方のプラットフォーム向けにプロジェクトをビルドすることができます。
アプリケーションを macOS に配置してリモート デバッグ セッションを自動的に確立できるよう、RAD Studio ではプラットフォーム アシスタント(PAServer)というツールを提供しています。
- チュートリアル:「PAServer をインストール」では、PAServer を macOS にインストールする手順を説明しています。
接続プロファイルを定義する
macOS マシンに PAServer をインストールした後、次の手順で IDE を Mac に接続します。
- [プロジェクト マネージャ]で[ターゲット プラットフォーム]の下の[macOS]ノードを右クリックし、[プロパティ...]を選択します。
- [プラットフォーム プロパティ]ダイアログ ボックスの[プロファイル]コンボ ボックスで、[新規追加...]を選択します。
- プロファイルの名前を入力します。
- Mac の名前(または IP アドレス)を指定します。
SDK を定義する
接続プロファイルを作成した後で、開発用システムに SDK を追加し、macOS マシンからファイルを取り込むことができます。手順は以下のとおりです。
- [プロジェクト マネージャ]で[ターゲット プラットフォーム]の下の[macOS]ノードを右クリックし、[プロパティ...]を選択します。
- [プラットフォーム プロパティ]ダイアログ ボックスの[SDK (ソフトウェア開発キット)]コンボ ボックスで、[新規追加...]を選択します。
- [接続するプロファイルの選択]コンボ ボックスで、新しく追加した接続プロファイルを選択します。
- [SDK バージョンの選択]コンボ ボックスで、最も基本の SDK バージョンである[Command Line Tools]を選択します。
ステップ 6: macOS でアプリケーションを実行する
これで IDE が Mac と接続されています。もう一度 F9 キーを押して、アプリケーションを Mac 上で実行します。アプリケーションは次の画像のように表示されるはずです。