モデリングについて
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はじめに
モデリング ツールの第一の目的は、ソフトウェア システム、特にオブジェクト指向を使って構築されたソフトウェア システムの、構造や構成要素を整理し、視覚化するためのグラフィカルなビューを提供することです。モデリング機能では、統一モデリング言語(UML)表記法を使って、さまざまな種類の UML ダイアグラムを設計します。モデリング機能を使って設計した UML モデルの UML ダイアグラムでは、オブジェクト指向を使って設計したソフトウェア システムの、要件や、サブシステム、論理要素や物理要素、構造や振る舞いのパターンを視覚的に表現します。このような UML ダイアグラムは、パッケージや、インターフェイス、クラス、属性、操作という概念を使って設計します。
この UML モデリングの作業は、技術者が大規模開発プロジェクトの一連の設計図を作成する作業に似ています。設計図の場合と同様に、UML モデルではシステムの全体像を描写するだけでなく、構造上の詳細や振る舞いの詳細など特定の部分に焦点を当てることもできます。
モデリング機能では、UML モデリング ツールを RAD Studio 統合開発環境内に完全に統合するというソフトウェア エンジニアリング手法をサポートしています。モデリング機能にはオブジェクト指向ソフトウェア システムを設計、構築するために必要な機能が備わっているため、開発チーム全体が共通の言語やダイアグラムやソフトウェアを使って協調して作業を行うことができます。特定のプログラミング言語から切り離されている UML モデルを使うことで、開発サイクルに関わるすべての参加者が同じ言語で対話することができます。経営陣や開発者やプロジェクト マネージャは、モデリング機能が提供する一貫した UML ベースのユーザー インターフェイスを備えた単一のプラットフォームを使って、ソフトウェア開発サイクル全体のすべての作業を行うことができます。UML ダイアグラムを効果的に使用すると、ソフトウェア システムの開発を単純化できます。
モデリングの主要機能の 1 つにリアルタイムのラウンドトリップ エンジニアリングがあります。これは、クラス図からその実装ソース コードへ、あるいはその逆に、即座に同期を取る機能です。
モデリングで使用する主な IDE 要素
モデリング機能は RAD Studio の IDE と緊密に統合されています。モデリング サポートを有効化すると、以下のことが起こります。
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- 次の IDE 要素がアクティブになります。
- [モデル ビュー] -- [モデル ビュー]には、モデリング プロジェクトの論理構造および包含階層を示すモデル ツリーが表示されます。
- [ダイアグラム]ビュー -- [ダイアグラム]ビューには、UML モデルで作成した UML モデル ダイアグラムが表示されます。
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- UML モデルやそのダイアグラムを管理する操作の多くを、[モデル ビュー]や[ダイアグラム]ビューから直接実行することができます。 次のことができます: プロジェクトへの UML 図の追加や削除、ダイアグラム要素(ノートやリンク)の追加、削除、名前変更、ダイアグラム要素内のメンバーの追加や削除、パターンによるダイアグラム要素の作成、ハイパーリンクの作成、制約の追加、画像へのダイアグラムのエクスポート、ユーザー プロパティの追加、ダイアグラムのレイアウト管理、ドキュメントの生成、ダイアグラム ビュー、モデル ビュー、ソース コードの間の移動、要素の切り取り、コピー、貼り付けなど。
- 次の IDE 要素がアクティブになります。
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- 次の IDE 機能が拡張されます。
- [オブジェクト インスペクタ] -- モデリング機能では、[オブジェクト インスペクタ]の機能が拡張され、UML ダイアグラムとダイアグラム要素のプロパティを管理するツールが提供されます。[オブジェクト インスペクタ]には、[モデル ビュー]または[ダイアグラム]ビューで選択したモデリング ダイアグラムまたはダイアグラム要素のプロパティが表示されます。[オブジェクト インスペクタ]を使用すると、選択したモデリング ダイアグラムまたはダイアグラム要素のプロパティを表示したり編集することができます。
- [ツール パレット] -- モデリング機能では[ツール パレット]が拡張され、UML モデリング要素が追加されます。[ダイアグラム]ビューに UML ダイアグラムを表示すると、[ツール パレット]にはそのダイアグラムで使用できるモデリング要素に対応するアイコンが表示されます。これらのアイコンには、[ダイアグラム]ビューに表示されたダイアグラム上に、対応するモデリング要素を作成するためのコマンドが結び付けられています。
- メニュー -- モデリング固有のコマンドが、メイン メニューや、[プロジェクト マネージャ]および[構造]ビューのコンテキスト メニューに追加されます。
- 次の IDE 機能が拡張されます。
主なモデリング機能
モデリングでは以下の機能をサポートしています。
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- UML モデリングをサポートするプロジェクトを作成できます。設計(プログラム言語に依存しない)または実装(言語固有)のモデリング プロジェクトを作成することができます。
- UML 図の UML 1.5 と UML 2.0 のすべての種類を使用することができます。[ダイアグラム]ビューまたは[モデル ビュー]で、サポートされているすべての種類の UML モデリング ダイアグラムを直接作成したり、すべてのモデル要素(ダイアグラム、パッケージ、クラス、リンクなど)を直接操作することができます。
- モデル要素とソース コードの間を双方向に移動できます。[ダイアグラム]ビューまたは[モデル ビュー]のモデル要素のグラフィカル表示から、そのモデル要素を実装しているソース コードへ、直接に移動できます。同様に、ソース コード内のクラスから[ダイアグラム]ビューのグラフィカルな UML ダイアグラムへ、直接に移動することもできます。
- クラス図には、言語固有のソース コードと UML モデルとを実行時に双方向に同期する機能が備わっています。ソース コードでの変更がグラフィカル表示に、あるいはグラフィカル表示での変更がソース コードに、即座に反映されます。この機能は、実装プロジェクト(UML 1.5)で使用できます。
- シーケンス図のソース コード生成は、実装プロジェクト(UML 1.5)で使用できます。
- パターンを使用できます。
- 検査と測定を使用できます。
- ソース コード リファクタリングを使用できます。
- XMI 形式のモデルをインポートおよびエクスポートできます。
- IBM Rational Rose(MDL)形式のモデルをインポートできます。
- 設計したモデルのドキュメントを自動生成できます。
- UML ダイアグラムに注釈や図解を付加できます。
- UML ダイアグラム要素をグラデーション色表示したり背景に画像を描画することができます。
- OCL 制約を使用できます。
警告:このヘルプで説明したすべての機能を RAD Studio のすべてのエディションで使用できるわけではありません。 ご使用の製品エディションでどのモデリング機能がサポートされているかを知りたい場合には、Embarcadero Delphi Web ページまたは Embarcadero C++Builder Web ページにある機能一覧を参照してください。