TDataSet の下位オブジェクトの利用
データセットの理解:インデックス への移動
TDataSet には,直接の下位オブジェクトがいくつかあり,そのそれぞれが異なるデータアクセスメカニズムに対応しています。これらの下位オブジェクトを直接扱うことはありません。かわりに,それぞれの下位オブジェクトは,特定のデータアクセスメカニズムを使用するためのプロパティとメソッドを持っています。これらのプロパティとメソッドは,異なる種類のサーバーデータに適応した,下位クラスによって公開されます。TDataSet の直接の下位オブジェクトには,以下のものがあります。
- TBDEDataSet:データベースサーバーとの通信に BDE(ボーランドデータベースエンジン)を使用します。TBDEDataSet の下位オブジェクトは TTable,TQuery,TStoredProc,および TNestedTable です。BDE 対応データセットの独自機能については,「ボーランドデータベースエンジンの使い方」で説明されています。
- TCustomADODataSet:OLEDB データストアとの通信に ActiveX Data Objects(ADO)を使用します。TCustomADODataSet の下位オブジェクトは TADODataSet,TADOTable,TADOQuery,および TADOStoredProc です。ADO ベースのデータセットの独自機能については,「ADO コンポーネントの操作」で説明されています。
- TCustomSQLDataSet:データベースサーバーとの通信に dbExpress を使用します。TCustomSQLDataSet の下位オブジェクトは TSQLDataSet,TSQLTable,TSQLQuery,および TSQLStoredProc です。dbExpress データセットの独自機能については,「単一方向データセットの使用」で説明されています。
- TIBCustomDataSet:InterBase データベースサーバーと直接通信します。TIBCustomDataSet の下位オブジェクトは TIBDataSet,TIBTable,TIBQuery,および TIBStoredProc です。
- TCustomClientDataSet:別のデータセットコンポーネントからのデータ,またはディスク上の専用ファイルからのデータを表します。TCustomClientDataSet の下位オブジェクトは,外部(ソース)データセットに接続することができる TClientDataSet と,特定のデータアクセスメカニズム(TBDEClientDataSet, TSimpleDataSet,および TIBClientDataSet)のための特別なクライアントデータセットです。後者は,内部ソースデータセットを使用します。クライアントデータセットの独自機能については,「クライアントデータセットの使い方」で説明されています。
これら TDataSet の下位オブジェクトが採用しているさまざまなデータアクセスメカニズムの長所と短所については,「データベースを使用する」で説明されています。
組み込みのデータセットのほかにも,たとえば,表計算プログラムなど,データベースサーバー以外のプロセスからデータを提供することなどを目的として,TDataSet の下に独自の下位オブジェクトを作成することができます。カスタムデータセットを書くと,任意の方法を選択してデータを管理する自由度が高まりますが,ユーザーインターフェースの構築には VCL データコントロールを使用できます。カスタムコンポーネントの作成の詳細は,「コンポーネント作成の概要」を参照してください。
TDataSet の下位オブジェクトはそれぞれ独自のプロパティとメソッドを持っていますが,下位クラスが導入するプロパティとメソッドの中には,別のデータアクセスメカニズムを使用するほかの下位クラスが導入しているのと同じものもあります。たとえば,「テーブル」コンポーネント(TTable,TADOTable,TSQLTable,および TIBTable)は,互いに似ています。TDataSet の下位クラスの共通点については,「データセットの種類」を参照してください。