10.3 Rio - リリース 1
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目次
RAD Studio 10.3 Rio の更新版がリリースされました(2019年2月14日)。
RAD Studio 10.3 Rio、ビルド 4899、がインストール可能になりました。有効なアップデート サブスクリプション カスタマーに対して、Delphi 10.3 Rio、C++Builder 10.3 Rio、RAD Studio 10.3 Rio のアップデートが提供されます。
2018年11月リリースの 10.3 Rio をすでにインストールしている場合、ビルド 4899 をインストールするには、まずは完全に既存のものをアンインストールし、設定を保持するために再インストールする必要があります。また設定は、設定移行ツールでも保持可能です。
10.3 Rio - リリース 1 には、次の新機能、機能強化、および不具合の修正が含まれています:
10.3.1 の新機能
- iOS 12 および iPhone X シリーズ デバイスに対するサポートの拡張
- RAD サーバー コンソール UI の再設計と Ext JS フレームワークへの移行(GetIt より利用可能)。
- Firebird 3.0.4 および 組み込み Firebird に対する FireDAC サポートの向上
- Windows における HTTP および SOAP クライアント ライブラリの強化
- 2 つの新しい IDE 生産性ツール: ブックマークとナビゲータ(GetIt より利用可能)。
- ブックマーク は、以前の IDE でのコード エディタにおける場所のマーキング機能を拡張したものです。単一のショートカットは、新しいブックマークを作成し、現在の、そしてすべてのファイルでのブックマークは、ドッキングされたウィンドウに表示されます。その際、構文の強調表示や、どのメソッドに含まれているかといったブックマークについての状況情報が、一緒に表示されます。キャレット ブックマーク(Escape を押すことで後方へジャンプすることができる場所のスタック)もまたサポートされています。
- ナビゲータ により、Delphi 用インテリジェント サーチを介して、ユニット内の任意の場所へ迅速にジャンプすることができます。〔Ctrl+G〕を押して入力を開始し、uses 節、メソッド、プロパティ、プロパティのバック フィールドやメソッド、その他コード要素などに移動します。また、Delphi と C++ の両方に対してミニマップを追加しています。これは、スクロールバーのようなサイド パネルで、コードのミニチュア版を表示します。
- 15 の新しいカスタム VCL Windows およびマルチデバイス FireMonkey スタイル(GetIt より利用可能)。
- 10 の新しい VCL Windows スタイル。ユーザーは自分の Windows アプリケーションに適用できます。これには、新しい FMX スタイルと一致する、数多くの Win 10 固有テーマと VCL スタイルが含まれています。
- また、FireMonkey マルチデバイス スタイルの 5 つセットが、Windows、macOS、Android、iOS に対するテーマ サポートと共に含まれています。
- スタイルの多くに多様なカラー バリエーションがあります。
- ビットマップ スタイル デザイナ テンプレートも含まれています。
10.3.1 に含まれる機能強化
Android
- Android SDK および NDK のインテグレーションが改善されました。Android マニフェストの設定の一部が更新され、Android の多様なバージョンのサポートが強化されました
- Android での TMapView の位置揃えと TWebBrowser の描画への修正
- C++Builder でインストール時に Android SDK/NDK を選択すると、SDK の string.h にパッチを自動的に適用し、コンパイル エラーに対処します
- Android のインテントの強化
- RAD Studio アプリケーションは、FireBase SDK にリンクできるようになりました
- 解決された IBLite のコンパイルとデプロイメントの問題
- プラットフォームおよびスタイル付き編集ボックスの品質への取り込み
iOS
- iPad Pro に対するネイティブ解像度のサポート
- 通知サポートの向上
- TEdit のキーボード処理の強化
- 編集コントロールが、他のフォームを表示/非表示した後も、正常に動作するようになりました
IDE
- 一部のアプリケーション オプション ページが C++Builder では欠けています
- スタイルなし IDE 使用時の GetIt パッケージ マネージャにおけるクラッシュが解決されました
- Delphi ソースファイルにおける、複数行にわたる連結文字列を解析する際の IDE クラッシュに対応しました。現在、IDE は最大約 250 行を処理します。コードがより多くの行を使用する場合、サイズを増やすためのレジストリ キーがあります(以下を参照)。
- データベース エクスプローラ ペインにおけるすべての DbExpress ドライバの最有効化
- IDE ツールバーおよびレイアウトの動作に対する数多くの修正。特にデスクトップ レイアウトを変更した際や、IDE を最小化/最大化した際におけるものが修正されました。
- オプション ダイアログで、サポートされていない設定であるため、IDE スタイルの無効化ができなくなりました。レジストリ キーの方はまだ使用可能です。
C++17 Clang Win32 コンパイラ
- RTL およびコンパイラにおいて、複数の問題が解決されました。これには、__finally ブロックにおけるエラー メッセージ “cannot compile this 'this' captured by SEH yet” の既知の原因や、その他の主要な問題が含まれています。
ランタイム ライブラリ(RTL、VCL、FireMonkey)
- TStringList.IndexOfName が、正常に Sorted = True をサポートするようになりました。
- フォト アルバム アクションにイメージを追加する際の問題が解決されました。
- 複数の JSON 関連の修正と向上。
HTTP と SOAP
- HTTP クライアント ライブラリが、圧縮デコーディングのサポートを提供するようになり、この機能はまた、Windows 上の SOAP クライアントでも利用可能になりました。Windows 上での SOAP サポートに関連する複数の機能向上が行われ、ライブラリが 10.3 において大きく更新されました。これには、クライアント証明書のサポートなどが含まれています(詳細については、以下を参照)。
RAD サーバー
- RAD サーバーには、より多くのデバイスをターゲットとできるよう、プッシュ通知のサポートの拡張が行われています。
- ユーザーの合計呼び出し数の分析のためのデータ表示のサポートが追加されました。
本リリースではまた、150 を超える公に報告された不具合に対する修正も含まれています。
10.3 Rio - Release 1 ではまた、次の 10.3 Rio のパッチとホットフィックスが含まれています:
- C++ ツールチェーン ホットフィックス(2019年1月21日リリース)
- RAD サーバー データベース移行パッチ(2018年12月14日リリース)
- IDE パッチ(2018年12月14日リリース)
- 紛失ファイルのパッチ(2018年12月5日リリース)
能およびバグ修正すべての一覧を見るには、ここをクリックしてください。
インストール
RAD Studio 10.3 Rio、ビルド 4899 は、インストーラ(機能インストーラ)や ISO(オフライン インストーラ)の形式で、登録ユーザー Web サイトから入手可能です。
このインストーラは、次の登録ユーザー ダウンロード ページから、ダウンロードすることができます:
- RAD Studio: https://cc.embarcadero.com/reg/rad_studio
- Delphi Rio: http://cc.embarcadero.com/reg/delphi
- C++Builder Rio: http://cc.embarcadero.com/reg/c_builder
既存のインストール設定を保存するため、10.3 Rio をインストールしたときに使用したものと同じインストーラ(オフライン インストーラまたは機能インストーラ)を使用して、10.3 Rio、ビルド 4899 をインストールすることをお勧めします。 使用したインストーラを判断するには、IDE が[管理プラットフォーム] オプション([ツール]メニュー下の)を確認してください。 メニュー項目が有効であれば、機能インストーラ を使用してインストールしたことを意味します。
その他の情報
Delphi ソースにおける、複数行にわたる連結文字列の処理。
Delphi コードのパーサーは、以前のリリースより 10.3 Rio において多くのスタック メモリを使用します。これにより、非常に大きな連結文字列の処理において問題があります。10.3.1 では、パーサーは、スタック領域を使い切る前に、文字列ごとに最大約 250 行まで扱うことができます。問題の原因は、文字列のサイズではなく行数です。
コードが、複数行に分割される文字列を使用している場合、レジストリ内の次の値を編集して IDE を再起動することで、パーサーのスレッドのスタック サイズを増やすことができます。
Key Name: HKEY_CURRENT_USER\Software\Embarcadero\BDS\20.0\Globals Name: ReservedStackSize Type: REG_DWORD
デフォルト値は $600000
で約 6 MB、サイズはバイト単位で指定されます。
HTTP の解凍
HTTP クライアント ライブラリの解凍をサポートするために、新しい型 System.Net.HttpClient が追加されました:
THTTPCompressionMethod = (Deflate, GZip, Brotli, Any); THTTPCompressionMethods = set of THTTPCompressionMethod;
THTTPСompressionMethod
は圧縮メソッドを指定しており、ここでの Any
は、任意のサポートされている圧縮メソッドを示しています。
この機能は、2、3 の関連クラスの新しいランタイム プロパティにおいて公開されています:
THTTPClient.AutomaticDecompression: THTTPCompressionMethods TNewHTTPClient.AutomaticDecompression: THTTPCompressionMethods THTTPReqResp.AutomaticDecompression: THTTPCompressionMethods
プロパティは、レスポンスの本体の自動解凍を制御します。これはプラットフォームによって動作が変わり、現在は Windows と Linux においてサポートされています。設定されていると、対応する "Accept-Encoding" ヘッダーがリクエストに含まれ、レスポンスの本体は自動的にでコードされます。iOS、macOS、Android プラットフォームでは、デコードは自動的に行われます。
SOAP 証明書
10.3.1 では、特に、SOAP クライアント(10.3 で HTTP クライアント ライブラリへ移行)に重点を置いた、クライアント証明書管理の機能向上が行われています。
10.3 で HTTP クライアント ライブラリを介して、ネイティブ Windows 実装に移行しましたが、一部違いがあります。THTTPReqResp の実装は、若干異なるインターフェイスを持つ、THTTPClient と置き換えられています。
現行の 10.3.1 では、System.Net.HttpClient.Win.pas ユニットにおいて、複数の実装上の変更があります。THTTPReqResp クラスの ClientCertificate プロパティには、IDE において新しいプロパティ エディタが用意されています。
マニフェスト ファイルにおける Android の TargetVersion
10.3 Rio でビルドされたアプリケーションを Android 9 で実行すると、制限 API の呼び出しによるエラーが発生することがあります。これは、AndroidManifest XML ファイルにおいて、TargetVersion パラメータを修正することで解決することができます。TargetVersion = 28 を使用すると、警告はログにのみ残り、エンド ユーザーには表示されなくなります。
この設定は、10.3.1 で作成されたアプリケーションでは正常に設定されていますが、10.3 の既存プロジェクトがある場合、それが Android 9 で正常に実行されるようにするには、手動で設定 TargetVersion = 28 を更新する必要があります。