初期リリース版の64ビットIDEの概要

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概要

RAD Studio 12.3 では、新しく 64-bit IDE が導入されました。この IDE は、Windows向けの64-bit アプリの開発に対応しています。初期バージョンでは、32-bit IDE と同じすべての機能には対応していませんが、次のような機能をサポートしています：

  • Delphi Win64 および C++ Win64 Modern プラットフォームでのコンパイルとデバッグ
    • VCLおよびFMXアプリ、パッケージ、DLL、静的ライブラリ、コンソールアプリケーションなど
  • VCLおよびFMXのフォームデザイン
  • コード編集
  • Windows 64-bitでのデバッグ
  • FireDACやdbExpressなどのデータベース対応
Note: この初期リリースの64-bit IDE は、現時点では Windows 64-bit に限定されており、Win32 や旧C++ Win64 ツールチェーンなど他のターゲットには対応していません。

64-bit IDEの初期リリースでは、Win64アプリのビルドとデバッグが可能です。詳細については、以下の対応プラットフォームのセクションを参照してください。

インストール

64-bit IDE は、RAD Studio のインストーラーでオプションとして選択できます。 インストール時に「IDEエクストラ」の”64-bit IDE-initial Release”にチェックを入れてください。

なお、後からIDEメニューの[ツール]-[機能の管理]を選択し、インストールすることも可能です。

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対応プラットフォーム

初期リリースの64-bit IDEで は、Delphi Win64 と C++ Win64 Modern プラットフォームでのコンパイルとデバッグをサポートしています。 Win64以外のプラットフォームがプロジェクトに含まれている場合、それらは 64-bit IDE では表示されません。Win64 プラットフォームが存在しない場合は、自動で追加されます。 プロジェクトを再び 32-bit IDE で開くと、隠れていた他のプラットフォームが再表示されます。


Delphiデバッガ

初期リリースの64-bit IDE では、Delphi Win64 のデバッグに LLDBベースの新しいデバッガが使われます。このデバッガは RSM 形式のデバッグ情報を読み取ります。 C++開発者は、動的にリンクされたモジュール(DLLやパッケージ)にデバッグ情報が含まれている場合、Delphi のコードもデバッグ可能です。

Note: Delphi と C++ のコードが同じプロジェクトに静的リンクされている場合、Delphi コードのデバッグはできません。

Delphiコンパイラ

64-bit IDE 上では、 $(BDS)¥bin64フォルダ内に配置されているDelphi 64-bit コンパイラが使用されます。

C++ コンパイラとデバッガ

C++ Win64 Modern プラットフォームでは、 $(BDS)¥bin64フォルダ内に配置されている64-bit C++コンパイラ/リンカ/デバッガが使用されます。

レジストリと設定の管理

64-bit IDE と 32-bit IDE は、ほとんどの設定を共有しています。プロジェクトリストやIDEテーマなど、共通する設定は両方の IDE 間で同期されます。


新しい App x64 エントリが、HKCU\Software\Embarcadero\BDS\23.0に追加され、64-bitの bds.exe の場所を記録します。64-bit IDEがインストールされているかを確認するには、このキーを使用し、指定されたファイルの存在をチェックします。


一部の設定は個別に保存する必要があります。これらは、レジストリ内でx64サフィックスが付けられています。


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現在、32/64-bitで個別に管理される設定の一覧は以下の通りです:

  • Known IDE Packages
  • Known Packages
  • Experts
  • Version Insight
  • Disabled Packages
  • Disabled IDE Packages
  • Delphi Win64 向けのデバッガ（プロセスへのアタッチや実行パラメータ)を使用した場合の設定で、64-bit IDEではDelphi Win64 向けの異なるデバッガを使用するため、別々に保存されます。


64-bit IDE で独自のレジストリ設定を使いたい場合は、以下のように -r オプションを使って起動します： 

 > bin64\bds.exe -rMy64BitKey

このコマンドは、64ビットIDEを起動し、すべての設定を新しいレジストリキー（HKCU\Software\Embarcadero\My64BitKey\23.0）に保存します。必要に応じて、このキーの名前を変更できます。

Note: -r と名前の間にスペースを入れないでください。

プラグインとアドオンのインストール

64-bit IDE 向けにプラグインやコンポーネントをインストールする場合は、インストーラー側で x64 のキーを使用するように設定する必要があります。 また64ビット版のパッケージは、32-bit IDE 向けとは別のフォルダに分けて管理するのがおすすめです。

コンポーネントとパッケージ

64-bit IDE では、デザイン時のパッケージも 64-bit で動作します。 パッケージプロジェクトを 64-bit IDE で開くと、自動で Win64 ターゲットが追加されます（まだ含まれていない場合）。インストールはプロジェクトマネージャで右クリック →「インストール」を選択してください。 Windows 64-bit Modern C++ツールチェーンでは、新しい出力ファイルをビルドするためにコンポーネントの構成を変更する必要があります。同様に、64-bit IDEでは、コンポーネントが64-bit パッケージを作成するための2回目のビルドを必要とします。これらは、32-bit 版とは別のフォルダに配置してください。


また、コードの一部を64-bit IDE/32-bit IDEに応じて切り替える場合は、以下のように {$IFDEF WIN64} を使って分岐できます： 

{$IFDEF WIN64}
  // 64ビット専用のコード
{$ENDIF}

Delphi向けのパッケージを C++ の Modern 64-bit ツールチェーン向けに正しく生成するには、プロジェクトに Windows 64-bit Modern プラットフォームが「追加されている」必要があります（アクティブでなくても構いません）。 C++ Modern Win64 に対応したコンポーネントをビルドするには、プロジェクトマネージャで「ターゲットプラットフォーム」を右クリックし、「プラットフォームの追加」を選択してください。

パスとIDE環境

64-bit IDE を実行しているとき、環境変数 $(BDSBIN) は bin64フォルダ を指すように設定されます。 パッケージやコンポーネントは \bin64フォルダから読み込まれます。

Note: パッケージを\bin64フォルダに直接配置しないでください。保存場所は別の場所に設定してください。

その他の 64-bit IDE の機能

  • IDEが64-bitモードで動作している場合、IDE本体やスプラッシュスクリーンのタイトルバーに「64-bitモードで実行中」であることを示す表示があります。
  • コードエディタ向けのDLL、すべてのIDEパッケージ、IDE本体は、High Entropy ASLRが有効になっています。
  • デバッガの設定は、64-bit IDE 専用のレジストリキーに保存されます。

関連情報


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