MultiResBitmap エディタ

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設計時に MultiResBitmap エディタを使用すると、多重解像度ビットマップのプロパティを編集できます。多重解像度ビットマップは、倍率ごとにビットマップを 1 つ含んでいるビットマップ コレクションです。たとえば、iOS アプリケーションでは、Retina デバイスと非 Retina デバイス向けに異なる倍率が定義された画像を用意する必要があります。さまざまなビットマップ項目では、ソース画像ファイルが同じ場合もあれば異なる場合もあります。

MultiResBitmap エディタでは TFixedMultiResBitmap 多重解像度ビットマップの作成と編集を行えます。TFixedMultiResBitmap 多重解像度ビットマップには TFixedBitmapItem 型のビットマップ項目が含まれています。なお、TImage コントロールの MultiResBitmap プロパティに TFixedMultiResBitmap 多重解像度ビットマップが保存されているため、MultiResBitmap エディタでは、このプロパティに関連付けられている多重解像度ビットマップを編集しなければなりません。

TFixedBitmapItem ビットマップ項目には Fixed プロパティがあります。Fixed = True のビットマップ項目は必須です。デフォルトでは、それぞれの多重解像度ビットマップには、Scale = 1 で名前が Normal の必須(デフォルト)ビットマップ項目が 1 つ含まれています。 MultiResBitmap エディタでは、必須ビットマップ項目を削除したり、必須ビットマップ項目の Scale を変更することはできません。グローバル メソッド RegisterScaleName を使って、必須ビットマップ項目(および倍率)を追加できます。

各実行時デバイス上で、TImage は、表示するのに最適なビットマップを TFixedMultiResBitmap 多重解像度ビットマップ内のビットマップ コレクションから取得します。取得したビットマップの倍率は、ビットマップが表示される画面に最も合うものでなければなりません。この画面にちょうど必要な倍率のビットマップ項目が多重解像度ビットマップに含まれていない場合、FireMonkey では、最も適した倍率のビットマップ項目を自動的に拡大または縮小しますが、この拡大で画像がゆがむおそれがあります。必要であれば、さまざまな倍率の任意の数のビットマップ項目を多重解像度ビットマップに追加できます。ただし、どのプラットフォームでも各ビットマップ項目はアプリケーションの実行可能ファイルのリソースを消費することを忘れないでください(たとえ、どれかのビットマップ項目が特定のプラットフォームで決して使用されなくても、リソースは消費されます)。

MultiResBitmap エディタの典型的な使用法を解説したビデオを参照することもできます。

MultiResBitmap エディタを開く

  1. フォーム デザイナまたは[構造]ビューTImage オブジェクトを選択します。
  2. 次のいずれかの手順を実施します。
    1. [オブジェクト インスペクタ]MultiResBitmap プロパティの値のフィールドをダブルクリックします。
    2. [構造]ビューMultiResBitmap の項目を右クリックします。
      コンテキスト メニューの[ビットマップ コレクションの編集]をクリックします。
  3. MultiResBitmap エディタが開きます。

多重解像度ビットマップを作成する

  1. フォーム デザイナを開きます。[ツール パレット]で、検索ボックスに「TImage」と入力します。
  2. [TImage]項目をクリックし、フォーム デザイナ内のフォームにドラッグします。
  3. フォーム デザイナで、この TImage を選択します。[オブジェクト インスペクタ]TImage の published プロパティが表示されます。
  4. [オブジェクト インスペクタ]MultiResBitmap プロパティを選択します。
  5. MultiResBitmap プロパティの値フィールドをダブルクリックするか、MultiResBitmap プロパティの値フィールドの参照([...])ボタンをクリックします。MultiResBitmap エディタが開き、空の多重解像度ビットマップが表示されます。なお、デフォルトでは、下図のように、Scale = 1 の必須ビットマップ項目のエントリが 1 つビットマップ項目ペインに表示されます。
    MultiResBitmapEditor.png
  6. MultiResBitmap エディタMultiResBitmap の倍率を追加する必要がある場合は、[追加]New.png)をクリックします。[縮尺]ボックスで倍率の値を編集できます。
  7. ビットマップ ファイルを開くには、[ファイルからすべてに入力]Fill All From File.png)をクリックします。
    • [開く]ダイアログ ボックスで、読み込む画像が格納されているソース画像ファイルを探して選択します。
    • その画像がビットマップ項目ペインに読み込まれます。エディタでは、倍率ごとにビットマップ項目が 1 つ存在します。
  8. [適用]Apply changes.png)をクリックして、MultiResBitmap エディタ内のパラメータと画像をすべて更新します。
    MultiResBitmapEditorBitmapItemsPane.png
  9. [プレビュー]Preview1 16.png)をクリックすると、選択したビットマップ項目をプレビューできます (下向き矢印をクリックすると、プレビュー ペインで使用する倍率を選択できます)。
    MultiResBitmap エディタの右側にプレビュー ペインが表示されます。
    MultiResBitmapEditorPreviewPane.png
  10. ビットマップ項目ペインでは、プレビューするビットマップ項目の選択と以下を行えます。
    • [透明色]SizeKind[幅][高さ]の各コントロールを使用して、ビットマップ項目のプロパティと多重解像度ビットマップ全体のプロパティを定義できます。
    • [適用]をクリックすると、画像が更新されます。
    • プレビューには、選択した画像が、指定したSizeScale などのプロパティを使って表示されます。
    • 特定の倍率のビットマップ項目に対応する特定の(別の)画像を読み込むには、ソース画像のファイル名を示すコントロールの右側にある[開く...]ボタン(Fill All From File.png)をクリックします。
      MultiResBMPFillBitmapItem.png
      [開く]ダイアログ ボックスが開きます。目的とする画像が格納されているファイルを参照できます。
    • 特定のビットマップ項目を編集するには、ビットマップ項目ペインで、ビットマップ項目を選択します。このビットマップ項目のプロパティが[オブジェクト インスペクタ]に表示されます。Bitmap プロパティの値フィールドにある参照([...])ボタンをクリックします。[ビットマップ エディタ]が開きます。ここで、選択したビットマップを編集できます。
  11. 多重解像度ビットマップのプロパティの編集が完了したら、[完了]をクリックします。次の[確認]ダイアログ ボックスが表示されます。
    [設計時にのみ使用される情報をクリアしますか?]
    • [はい]をクリックすると、設計時の情報がクリアされます。これで、編集内容がすべて .dfm ファイルに適用され、ダイアログ ボックスが閉じられます。
    • 設計時の情報である[透明色]SizeKind[幅][高さ]、ソース画像が格納されているファイルの名前は、設計時にのみ使用されます。多重解像度ビットマップの編集が完了したら、これらのプロパティは .dfm ファイルから削除することができます。

ツールバー

MultiResBitmap エディタの上部には、以下のボタンが含まれているツールバーがあります。

ボタン 説明

[追加]
New.png

新しいビットマップ項目のエントリをビットマップ項目ペインに追加します。

[削除]
Action delete.jpg

選択されたビットマップ項目のエントリを削除します。デフォルトでは、先頭のエントリ(Scale = 1)は必須です。必須エントリを選択した場合は、[削除]をクリックしても、選択した画像およびファイル名がクリアされるだけです。
多重解像度ビットマップに必須ビットマップ項目を追加する方法については、RegisterScaleName の説明を参照。

[ファイルからすべてに入力]
Fill All From File.png

画像ファイルを選択するための[開く]ダイアログ ボックスが表示されます。ここで選択した画像は、ビットマップ項目ペインのすべてのビットマップ項目エントリに読み込まれます。

  • [カスタム サイズ] -- [カスタム サイズ]を選択した場合、Scale = 1 のビットマップ項目の希望の[幅][高さ]を指定することができ、指定したその[幅][高さ]に合わせて画像が拡大/縮小されます。[画像に基づくサイズ]オプションの場合と同様に、別の縮尺の画像(Scale = 1.5 など)を読み込むと、指定した[幅][高さ]1.5 倍されます。たとえば、上のエディタの MultiResBitmap の図を見てください。Scale = 1 のときの高さ5 * 5 です。同様に、Scale = 2 の場合の高さ10 * 10Scale = 3 の場合の高さ15 * 15 です。
  • [デフォルト サイズ] -- [デフォルト サイズ]を選択した場合、Scale = 1 のビットマップ項目にはデフォルトの画像サイズが使用され、それ以外のすべての縮尺については、それぞれに応じて画像が拡大されます。
  • [画像に基づくサイズ] -- SizeKind[画像に基づくサイズ]を選択した場合、画像ファイルに格納されている画像のサイズが Scale = 1 のビットマップ項目に使用されます。他の縮尺のビットマップ項目の高さは、その縮尺の値を乗じて計算されます。たとえば、Scale = 1.5 用に画像を読み込むと、元の画像(ファイルに格納されているもの)の高さ1.5 倍されます。

[適用]
Apply changes.png

指定されたファイル名およびその他のパラメータの新しい値に従って、すべてのビットマップ項目エントリを再読み込みします。たとえば、[透明色]サイズ プロパティを変更した場合には、[適用]をクリックします。

[完了]
Clear design time info and close.png

変更内容をすべて .dfm ファイルに適用し、ダイアログ ボックスを閉じます。
[確認]ダイアログ ボックスが開き、[設計時にのみ使用される情報をクリアしますか?]というメッセージが表示されます。[はい]をクリックすると、設計時の情報がクリアされます。[いいえ]をクリックすると、設計時の情報がそのまま残されます。
設計時の情報には、[透明色]SizeKind[幅][高さ]、ソース画像が格納されているファイルの名前などがあります。これらのプロパティは可視性が published ではなく、設計時にのみ使用されます。多重解像度ビットマップの編集が完了したら、これらのプロパティは .dfm ファイルから削除することができます。

[プレビュー]
Preview1 16.png

[プレビュー]ボタンをクリックすると、MultiResBitmap エディタの右側にプレビュー ペインが表示されます。プレビュー ペインには、ビットマップ項目ペインで選択したビットマップ項目のプレビューが表示されます。プレビューには、対応する Size プロパティおよび Scale プロパティを使って画像が表示されます。
[プレビュー]ボタンの右側の下向き矢印をクリックすると、プレビュー ペインで使用する倍率を選択できます。倍率の取り得る値は、¼½124 です。

[ヘルプ]
Help icon.png

ヘルプ システムを開きます。[ヘルプ]をクリックすることと、F1 キーを押すことは同じです。

ツールバーのコンテキスト メニュー

ツールバーを右クリックすると、ツールバーのコンテキスト メニューが表示されます。このメニューの項目は 1 つです。

コマンド 説明

[ボタンの文字列]

ツールバーのボタンの下にテキスト ラベルを表示するかどうかを切り替えます。

コントロール

MultiResBitmap エディタのツールバーのすぐ下には、以下のコントロールが用意されています。

ボタン 説明

[透明色]

画像を透明に描画するためのマスクで使用される色を定義します。[透明色]では、透明に変更されるピクセル色を定義します。[なし]を選択した場合、色の置換は行われません。[デフォルト]を選択した場合は、左下のピクセルの色が使用されます。このパラメータは以前の .bmp ファイルの場合に使用されます。

SizeKind

ビットマップ項目の SizeKind プロパティの値を定義します。取り得る値は以下のとおりです。

これら[カスタム サイズ][デフォルト サイズ][画像に基づくサイズ]値の詳細説明は、[ファイルからすべてに入力]ボタンの説明を参照。

[幅]および[高さ]

Scale = 1 の画像の Width プロパティと Height プロパティを定義します。たとえば、Scale = 1.5 の画像を読み込む場合、指定された[幅][高さ]1.5 を掛けた値になります。

ペイン

ダイアログ ボックスの下半分にはビットマップ項目ペインとプレビュー ペインがあります。

ビットマップ項目ペイン

ビットマップ項目ペインは、ダイアログ ボックスの左下の部分です。

ビットマップ項目ペインには、定義済みのビットマップ項目エントリがすべて表示されます。このペインの各エントリは、特定のビットマップ項目のプロパティを記述しています。エントリごとに以下が表示されます。

  • ビットマップ項目のサムネイル表示。
  • ビットマップ項目の Scale プロパティの値とそれに対応する Width および Height の値。
  • ソース画像ファイルのファイル名。

ツールバーの[追加]ボタンをクリックすると、新しいビットマップ項目エントリが追加されます。

ツールバーの[削除]ボタンをクリックすると、選択したビットマップ項目エントリが削除されます。デフォルトでは、Scale1 に等しいビットマップ項目エントリ(通常は先頭のエントリ)は必須であり、削除することはできません。そのため、必須エントリに対して[削除]を実行しても、選択したエントリの画像およびファイル名がクリアされるだけです。

各エントリの編集コントロールには、画像ソースが格納されているファイルの名前が表示されます。[ファイルからすべてに入力]を使用すると、すべてのビットマップ項目に同じソース ファイルを設定することができます。特定のビットマップ項目の編集コントロールで[開く...]ボタンを使用すると、そのビットマップ項目に固有のソース ファイルを設定することができます。なお、Windows エクスプローラから画像ファイルをドラッグすることもできます。

特定のビットマップ項目を選択すると、そのビットマップ項目のプロパティが[オブジェクト インスペクタ]に表示されます。Bitmap プロパティの値フィールドをダブルクリックすると、[ビットマップ エディタ]が開きます。[ビットマップ エディタ]では、選択したビットマップを編集できます。

プレビュー ペイン

プレビュー ペインはダイアログ ボックス右部です。

プレビュー ペインには、ビットマップ項目ペインで選択したビットマップ項目の画像のプレビューが表示されます。

関連項目